東三河地域応援サイト TOYOKAWAをはじめよう

イオンモール豊川
愛知大学の教授・学生

若者の目線で 地域との関わりを考える 愛知大学

地域政策学部:鈴木誠教授とゼミ生

地域社会の持続的な発展や優れた人材の育成に寄与することを目的に
イオンモール豊川と「産学連携協力に関する覚書」を締結した愛知大学。
これからの抱負について語っていただきました。

愛知大学

“愛大(あいだい)”の愛称で呼ばれる愛知大学は1946年豊橋において創学。「世界文化と平和への貢献」「国際的教養と視野をもった人材の育成」「地域社会への貢献」を建学の精神に掲げ、変化の激しい時代に即した様々な取り組みで教育・研究活動を行っています。

https://www.aichi-u.ac.jp/
愛知大学

愛知大学豊橋キャンパスは、地域連携を目的とした
教育研究活動が基盤。

開学の地である豊橋キャンパスは、現在文学部、地域政策学部、短期大学部の3学部で教育・研究活動を行っています。一方、2012年に開校した名古屋キャンパスには法学部、経済学部、経営学部、現代中国学部、国際コミュニケーション学部の5学部があり教育・研究活動を行っています。明確な分担というわけではありませんが、名古屋キャンパスの方は国際教育研究の学部が集まっており、“国際教育研究の拠点”という位置付けです。これに対し、豊橋キャンパスは2011年に地域政策学部が誕生したこともあり“地域連携の拠点”という位置付けになっています。学生数約7,000人の名古屋キャンパスに対して、学生数約3,000人という規模で教育・研究活動の大きなシフトが名古屋に移った印象のある豊橋キャンパスですが、開学の地でもあり、大学の教育理念を体現していく教育・研究活動をしっかり実践していこうということで地域政策学部が加わり、大学の設立理念の一つでもある「地域社会への貢献」を担う活動を行っています。

実践的な教育活動を行う地域政策学部。
学びのフィールドは地域社会!

地域政策学部の活動の様子

開学から65年の時を経て、2011年に誕生した地域政策学部は愛知大学の中で最も若い学部です。この学部は『地域を見つめ、地域を活かす』を教育理念に掲げて具体的な教育・研究活動を行っています。大きな特徴の一つが、教員がそれぞれのテーマで研究や教育活動を行うだけでなく、学生自らが地域社会を舞台として調査研究活動を行っていること。地域の自治体や企業、NPO、町内会、商店街といったところと協力・連携しながら、地域が直面している問題に立ち向かい、共に解決策を見出し、さらにこの見出したことを素材に大学でより深い勉強をしていく試みを行っています。これは『学生地域貢献事業』と呼んでいるもので、毎年20団体ほどが誕生し、300人を超える学生たちが6月から1月末迄の7~8ヵ月間ほど自主的に課題解決に取り組んでいます。
また、ゼミにおいても学内の学びだけではなく、率先して学外へ出向き、様々な調査研究や実践的な授業を行っています。実際的な活動を重視するという意味で、具体的には自治体や企業と連携して調査を行い政策づくりをする、イベントや地域活動にチャレンジするなど、将来的にはベンチャーやスタートアップ企業を生み出すところまでもっていきたいと考えています。

昨年は豊川市から『若者たちが地域の町内会などや伝統的な地域組織に関心を持ち、関わりを持つにはどのように地域組織を改革したら良いかの調査研究をしてほしい』という依頼がありました。これを受け、実際に豊川市内の3つの町内会や連合組織との話し合いやイベントを企画、また市内5校に通う生徒たちに協力してもらいながら調査を実施。豊川というまちにとって、若者たちが地域に関心を持ち、関わりを持っていくにはどんな制度作りや改革が必要なのか。どんなイベントを打てばいいのか。そのための政策ケアの一貫として、実際に学生たちが神奈川県横浜市、兵庫県明石市、福岡県宗像市、沖縄県宜野湾市を調査して回りました。これらの市は“人口の自然増が顕著”“昔から若者の地域参加に熱心な取り組みがある”“人口増はあるものの県外流出が激しい”など、それぞれに特徴があるところですが、この4市を実際に訪問、ヒアリング調査などを行い、同時に行った豊川市の高校生たちの意識調査とともに政策提案につなげることができました。

大型商業施設との連携で、地域社会が抱える課題に立ち向かう!

対談の様子

今回イオンモール豊川さんとの連携は当学でも初となる大型商業施設のパートナーで、とても大きな期待があります。今、どこの自治体も共通しているのが定住人口の減少や高齢化、少子化という問題。だから交流人口(※)の拡大を遂げ、これを関係人口(※)に繋げ、定住人口を増やしていきたい、という希望を強く持っている自治体が圧倒的に多いのです。現在「まち・ ひと・しごと創生総合戦略」という地方創生事業の第二期で、全国の都道府県、市町村全てが取り組みを行っているのですが、ここでも少子高齢化対策や定住人口の増加、移住定住政策とそれに向けて如何に関係人口の拡大を図るか、ということが地域政策の柱になっているのです。
※交流人口:地域への愛着とは関係なく観光や通学、
通勤などで訪れる人
※関係人口:地域に愛着を持って訪れる人

交流人口の拡大や関係人口の形成というのは、そう簡単にできることではないのですが、今回の場合は大型商業施設として、買い物に訪れる人が東三河でも圧倒的に増えています。県境をまたいで隣の静岡県からも、西三河方面からも、場合によっては長野県の南信エリアからも訪れるであろう、といった具合に非常に商圏エリアが広く、その中で移動し豊川で買い物をしています。その一方で、様々なイベントや、消費者自身が生活者として魅力を発信したり、グループとしてイベントを演出したりする機会も設けられています。これは、地元の人たちにとっても自己表現の機会にもなるだけでなく、地元の良さを訪れる人にアピールする機会にもなります。つまり、交流人口をつくり、豊川の良さを地元から発信する重要なチャンスをイオンモール豊川さん自身が施設の中で作り上げようとしている。そこに豊川を訪れる人たちとの関係性が作られる可能性があるわけです。

交流人口、関係人口の創出を産学ともに手を携えて
イオンモール豊川とともに。

学生たちも既にオープンしたばかりのイオンモール豊川さんを訪れて『バスケコートやパークに驚くと同時に、若い世代にとっては少し堅いイメージのある町内会よりも足を運びやすく、地域を知ってもらう第一歩としてイオンモール豊川と関わることは大きいと感じた』『従来の回覧板ではない、新しい情報発信をイオンモール豊川の中で行うことで、若い世代や家族連れにも気軽に町内会の活動に興味を持ってもらえると思った』『地元に住んでいても知らなかった、気づかなかった魅力をイオンモール豊川内の店舗で知ることができるだけでなく、そんな店舗・事業主さんたちも施設内に店を構えることで“地元で頑張っている人がいる”と知ってもらう機会が増え、地元が盛り上がるメリットがあると感じた』など、若い世代の目線で“新しい商業施設が地域にできること”の意義を感じています。

豊川市はもともと豊川稲荷があり、集客効果も高いのですが12月~2月といった期間限定型の特徴があり、訪れる人に市内や地元の良さを広くアピールするところにまで引き付けることができていませんでした。ただ、豊川市は豊橋市や新城市からの移住者も多く、東三河の中では人口増加が起きている自治体でもあるので、地元、東三河の生活の質をどう高めていくかということを考えるチャンスだけでなく、訪れる人たちとの交流のチャンスがイオンモール豊川さんにあると考えています。
学生たちも、これまで地元の町内会やコミュニティの活性化を考える時、“関係人口をどう作るか”ということを検討してきたわけですが、今回の連携はこれと非常に繋がるものがあります。地元のコミュニティではなかなかできない、より大きな規模でイベントを企画したり、より多くの人を周年的に迎えて交流人口、関係人口を作ったりできる大きな引き金としての可能性があるわけです。買い物だけにとどまらず、地域の生活の質を知ってもらい、様々な社会貢献のイベントを行い地元の良さを発信してもらえるような企画もあるので、ここに愛知大学の学生たちが関わっていけたら、日頃行っている交流人口・関係人口の創出を共に協力してやっていけるのではないかと希望を持っています。